助成金は「目的」ではなく「手段」。自社の経営課題に合った制度の選び方
助成金の選び方!経営課題を解決し会社を伸ばす手段にするコツ
初めて従業員を雇い入れ、現場の指揮から裏方の事務まで日々走り回っている経営者の皆様、本当にお疲れ様です。人を一人雇うと、毎月のお給料以外にも社会保険料や備品の準備など、想像以上にお金が出ていきますね。だからこそ、国からもらえる助成金という言葉に惹かれるのは、経営者としてごく自然な感覚です。ただ、最大数百万円もらえるといったうたい文句に飛びつき、自社の実情に合わない制度を無理やり取り入れた結果、現場が混乱してしまったというご相談を私たちは数多く受けてきました。この記事では、助成金をもらうこと自体を目的とするのではなく、採用や定着といった自社の実務的な悩みを解決する道具として使いこなし、会社をさらに成長させるための具体的な考え方をお伝えします。
助成金は「もらうこと」を目的とせず、自社の課題を解決し会社を成長させるための「手段」として使いこなしましょう。
助成金の仕組みと注意点
助成金を活用する前に、まずはその仕組みを少しだけひも解いてみましょう。助成金とは、国が定めた労働環境を良くするための取り組みを行った会社に対して支給されるお金のことです。つまり、黙っていても振り込まれる単なるお小遣いではありません。従業員が働きやすい職場を作ってくれてありがとうという、国からの後押しのような存在です。
ここで最も気をつけたいのが、お金をもらうためだけに新しいルールを作ってしまうことです。心理学や脳科学の分野では、報酬目当ての行動は一時的なやる気しか生まず、長続きしないことが分かっています。これを会社の経営に当てはめると、社長が助成金の要件を満たすことばかりを気にして制度を作った場合、現場で働く人たちにはその下心が敏感に伝わってしまうということです。本来は従業員のために良かれと思って始めたことでも、結果としてやらされ仕事になり、かえって働く人の自発的なやる気を失わせてしまうことも少なくありません。
大切なのは、社長自身が従業員と一緒にどのような会社を作っていきたいのかという純粋な思いを起点にすることです。その思いにぴったりと合う国の支援制度が見つかった時に初めて、助成金は会社を良くするための強力な追い風へと変わります。
自社の課題解決から考える助成金選び
実務において助成金を選ぶ際は、自社が今どのような壁にぶつかっているのかを書き出して整理するところから始めます。求人を出しても人が集まらないのか、せっかく入社してもすぐに辞めてしまうのか、あるいはベテランの技術を若手にもっと伝えていきたいのか。それぞれの悩みに対して、解決を助けてくれる助成金が用意されています。
たとえば、契約社員やパートタイムで働く方たちに長く勤めて活躍してほしいと願うなら、正社員への道を用意することで支給される「キャリアアップ助成金」が選択肢に入ります。また、子育て中の従業員を支えたいのであれば、育児休業を取りやすくする「両立支援等助成金」が役立ちます。このように自社の課題を解決するための手段として選べば、受け取ったお金を次の教育や設備に投資でき、会社全体の力が底上げされていくという良い循環が生まれます。
実務で確認したいポイント
- 一つ目は、会社で働く上での土台となる書類が正しく運用されているかという点です。日々の労働時間を記録する出勤簿や、給与の計算結果を記した賃金台帳、そして雇う時の約束事である労働条件通知書などは、助成金を申請する際に必ず提出が求められます。これらの記録を日頃からごまかしなく整えておくことは、助成金のためだけでなく、従業員からの信頼を得るための第一歩にもなります。
- 二つ目は、お金が入ってくる時期を正しく把握することです。助成金は取り組みの計画を出してから実際に支給されるまで、数ヶ月から長いものでは一年以上かかることも珍しくありません。先にお金をもらってから動く仕組みではないため、助成金をあてにして日々の資金のやり繰りをすることは避け、あくまで後から戻ってくる余裕資金として長期的な計画に組み込む必要があります。
- 三つ目は、新しいルールを始める前に従業員へ丁寧に説明することです。助成金の要件を満たすために、会社のルールブックである就業規則を新しく作る場面は多くあります。その際、紙切れを渡して終わらせるのではなく、なぜこのルールを取り入れるのか、それがみんなの働きやすさにどうつながるのかを社長の言葉で直接伝えてください。背景にある社長の思いが伝われば従業員も協力しやすくなり、新しい制度がしっかりと職場に根付きます。
まとめ
助成金は会社の体力を高めるための素晴らしい仕組みですが、お金をもらうこと自体をゴールにしてしまうと、膨大な書類の準備や形だけのルールに振り回されてしまいます。数年後にどんな会社にしたいかという未来の姿を描き、そこへ近づくための道具として助成金を選んでみてください。どの制度が自社に合っているのか、何から手を付ければいいのか迷ったときは、ぜひことほぎ社会保険労務士法人にご相談ください。社長の孤独な決断が従業員の笑顔につながるよう、私たちは専門家としてしっかりと伴走いたします。
社会保険労務士 吉良山美由紀
参考・情報源
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